2017年 下半期 / 第158回 芥川賞
百年泥
南インドのチェンナイで日本語を教える私は、大洪水の後、川の向こうの会社へ向かう。橋の上に集まる人々と、洪水が残した膨大な泥。そこにのみ込まれた物や悲しみが、記憶を呼び起こしていく。
南インドのチェンナイで日本語を教える私は、大洪水の後、川の向こうの会社へ向かう。橋の上に集まる人々と、洪水が残した膨大な泥。そこにのみ込まれた物や悲しみが、記憶を呼び起こしていく。
七十四歳でひとり暮らしをする桃子さんは、長く住んできた家でお茶を飲み、物音に耳を澄ます。自分の内と外から湧く声に触れながら、これからの時間をどう生きるか考える。老いと孤独の中にある自由を描く。
受賞短編「影裏」を収録。本全体の受賞ではありません。
出向で岩手に移った私は、同僚の日浅にだけ心を許し、共に釣りをする時間を過ごした。やがて疎遠になった彼の知らなかった顔に、ある日を境に触れる。自然の風景に重ねて、親密さと孤独を描く。