けんぐゎい
父を亡くした姉妹は、手習いの手伝いと船宿の奉公へ別々に出される。痘痕のある姉ふゆは、師匠の養子から暴力を受けて妊娠し、女医者との出会いを機に自分の生を考え始める。社会の枠の外で女たちが生きる姿を描く時代小説。
父を亡くした姉妹は、手習いの手伝いと船宿の奉公へ別々に出される。痘痕のある姉ふゆは、師匠の養子から暴力を受けて妊娠し、女医者との出会いを機に自分の生を考え始める。社会の枠の外で女たちが生きる姿を描く時代小説。
大正から昭和にかけての上野。あまり流行らないカフェー西行には、夢や事情を抱えた女給たちが集まる。客をもてなし、仲間と笑い、ときに嘘に驚かされながら、彼女たちは自分の行く道を探す。働く女性たちの日常を描く。
ウミガメの卵を育てようとする中学生、隕石の発見場所を偽る女性、萩焼の土を探す男。各地に暮らす人々の選択を、科学が示す長い時間のなかに置いてみる。土地の記憶と、次の世代へ渡すものを見つめる五つの物語。
死んだ同級生の名を名乗る女、息子に大金を渡した見知らぬ老人。コロナ禍で日常が変わった人々の暮らしに、思いがけない出来事が入り込む。孤独や困窮のなかで誰もが踏み越えうる線を、さまざまな罪の物語として描く短編集。
明治後期の北海道で、人里を避けて暮らす猟師の熊爪は、一匹の犬と山に入る。冬眠しない凶暴な熊との闘い、盲目の少女との出会いが、その生を揺さぶっていく。獣を殺して生きる男を通し、人間と自然の境界を問う長編。
恋人に振られた大学生は、友人への借金が縁で京都の草野球大会に加わる。一方、方向音痴の女子高校生は全国駅伝のアンカーを任される。夏の御所と冬の都大路で起こる不思議な出会いを描く、青春と記憶の二つの物語。
受賞時の題名「極楽征夷大将軍」
全2巻。この書影・リンクは第1巻です。
天下を取る野心に乏しい足利尊氏を、弟の直義と家宰の高師直が支える。鎌倉幕府が崩れ、室町幕府が生まれる動乱のなかで、尊氏の周囲には人が集まっていく。才覚と信念の違う者たちが権力を築く過程を描く歴史群像劇。
雪の夜、木挽町の芝居小屋の裏で若衆が父の仇を討った。二年後、ある武士が目撃者を訪ね歩く。芝居に救われた人々が語る身の上話と証言は、誰もが知るはずの仇討ちの姿を変えていく。人の情けと事件の真相をたどる時代小説。
受賞時の題名「地図と拳」
全2巻。この書影・リンクは第1巻です。
日露戦争前夜の満洲に、密偵や通訳、神父、移住者たちが集まる。石炭をめぐる利害と国家の欲望が、やがて一つの都市の繁栄と破壊を導いていく。架空の土地に刻まれた半世紀を通して、人が戦争へ進む仕組みを問う長編。
両親とはぐれた少女ウメは、石見銀山で山師の喜兵衛に拾われ、坑道で働き始める。だが成長するにつれ、女として課される制約と、銀を掘る男たちの死に直面する。時代と山の変化のなかで、生き抜く女の一生を描く。
双子の妹を亡くした女性や、人とのつながりを失った人々が夜空を見上げる。コロナ禍の暮らしや恋人との隔たりのなかで、もう一度誰かと心を通わせられるのか。喪失を抱えた日々と、その先の小さな変化を描く五つの短編。
受賞時の題名「塞王の楯」
全2巻。この書影・リンクは第1巻です。
戦で家族を失った匡介は石垣職人に育てられ、破られない城が争いをなくすと信じる。一方、鉄砲職人の彦九郎も強力な武器による平和を目指す。関ヶ原前夜の大津城で、同じ願いから生まれた二つの技術と信念がぶつかる。
織田信長に背いて有岡城に籠もった荒木村重は、城内に続発する不可解な事件に苦しむ。頼った相手は、土牢に幽閉した敵の使者・黒田官兵衛だった。包囲された城での謎解きが、武将たちの思惑と戦の行方を照らし出す。
メキシコの麻薬組織を追われたバルミロは、ジャカルタで日本人の臓器ブローカーに出会う。二人の犯罪計画は、川崎で育った孤独な少年の運命とも交差する。アステカの神話を背後に、国境を越える暴力と欲望を描く。
絵師・河鍋暁斎が亡くなり、娘のとよは家族や一門の行く末を背負う。自らも暁翠の名で絵を描きながら、父の大きな名声と複雑なきょうだい関係に向き合う。明治から大正の変化のなかで、描き続ける女絵師の生涯をたどる。
江戸の千駄木を流れる淀んだ川。そのほとりの長屋には、行き詰まりや後悔を抱えた人々が暮らしている。妾、飯屋の主人、世話焼きの差配たちの過去と願いを重ねながら、ままならない日々に残る人の温かさを描く連作集。
震災後の仙台で、暮らしに追われる和正は痩せた犬・多聞を拾う。人の心に寄り添うその犬は、なぜかいつも南を見つめていた。旅の途上で多聞と出会う人々の孤独や迷いが、一人の少年へと向かう道に重なる連作短編集。
故郷を追われたアイヌの山辺安之助と、流刑地に送られたポーランド人のピウスツキ。国家の同化政策に翻弄された二人が樺太で出会い、守りたい文化を探していく。厳しい土地に生きる人々の歩みを描く歴史小説。
江戸時代の大坂で、近松半二は浄瑠璃の作者として歩み始める。先を行く仲間や書き直しを求める人形遣いに揉まれながらも、物語を書くことをやめられない。道頓堀の芝居を支える人々と、作品が形になるまでの営みを描く。
受賞時の題名「宝島」
全2巻。この書影・リンクは第1巻です。
米軍統治下の沖縄で、若者たちの英雄が基地への侵入を機に姿を消す。残された幼なじみは警官、教師、テロリストとなり、それぞれの立場で故郷の未来を求める。帰らぬ男の秘密を軸に、島に生きる人々の抵抗と青春を描く。
父親を殺した容疑で逮捕された女子大生・環菜。事件を取材する臨床心理士の由紀は、本人や周囲との面会を通じて、説明のつかない言動の奥にある過去を探る。家族という関係に刻まれた傷と、語られなかった思いに迫る。
質屋を営む宮沢政次郎は、家業を継がず自分の道を探す息子・賢治に気をもむ。厳しい父でありたいのに、つい援助してしまう。妹トシの病を経て物語を書き始める賢治の生涯を、家族を支える父の目から描いた長編。
受賞時の題名「月の満ち欠け」
生まれ変わりを語る少女の言葉が、三人の男と一人の女の人生を結びつける。偶然に見えた出会いの奥から、三十余年にわたる思いと記憶が姿を現す。時間や死を越えて人を求める心を、謎とともにたどる恋愛小説。
受賞時の題名「蜜蜂と遠雷」
全2巻。この書影・リンクは第1巻です。
国際ピアノコンクールに集まった若い演奏家たち。楽器を持たない少年や、演奏の場を離れていた少女らが、それぞれの経験を音に託す。互いの演奏に揺さぶられながら音楽に向き合う、才能と再出発の物語。
海辺の理髪店を訪れた青年は、髪を切られながら店主の昔話を聞く。長く離れていた母を訪ねる娘など、家族との距離に戸惑う人々が、それぞれの過去と向き合っていく。失ったものと残された思いをたどる六つの短編。
江戸の町で、武家の男たちは別れた女や亡き妻の面影を抱えながら日々を送る。思うようにはならない男女の縁が、家や身分に縛られた暮らしを揺らしていく。女たちとの関わりから男の弱さと生き方を見つめる時代小説集。
1975年の台湾。17歳の少年は、何者かに殺された祖父の過去をたどり始める。家族の記憶と時代の歴史が交差するなかで、祖父の死の謎を追う青春ミステリー。
2025年 上半期 第173回 該当作なし。 受賞の公式記録